2013年5月21日火曜日

脱色


トラブルのご報告です。


麻100%のチョッキです。黄ばみがあちこちにありました。

麻は染色が非常に弱い為、様子を見ながら少しずつ少しずつシミ抜きをしていく必要があります。過酸化水素水という薬品を使用します。髪を茶色くするブリーチと同じものです。

ブリーチは、付けて乾かしてを繰り返すうちに少しずつ髪が脱色していきますが、それと全く同じ要領でシミを少しずつ薄くしていきます。髪のブリーチを経験したことがある方はおわかりだと思いますが、そうそう簡単に脱色はできません。同じ事を何度も繰り返し脱色していくものですが、しかしこれが衣類だと事情が違ってきます。

はじめは地色を痛めずに順調にシミが薄くなっていったのですが、残りわずか、最後のあと一押しで写真の状態になってしまいました。麻は各素材の中でも最も染色が弱い素材で、一定の限界を超えると染色が一気に崩壊します。

過酸化水素水は酸性の性質ですが、酸性の薬品を用いた場合、生地に酸を残すと痛める恐れがあるので、そこにアルカリ性の薬品を付けて中和する必要があります。しかし、その中和剤が脱色の輪をさらに広げる結果になってしまいました。

完全に失敗です。

脱色の範囲が小さければ染料を用いて色掛けという対処法もありますが、ここまで範囲が広いとほぼ不可能に近いです。染め直しという方法もありますが、手間とコストを考えると、はっきり言って新しいものを買った方が早いです。

結局、お客様ご自身で新しいものを購入して頂き、代金は賠償保険で負担する事になりました。

申し訳ありませんでした。

かつてシミ抜きを教わった師匠から、クリーニング屋である以上、シミを完全に落としたいのは本懐だが、素材やシミの状態、そして経験から判断した上での「引き際も技術」という事を教わりました。では、どこで引くのか。写真のようになってからではもう遅い。引き際を判断するにはまだ経験が浅かったと言わざるを得ません。

恥ずかしい限りですが、今後の為にご報告させて頂きました。





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