2013年5月16日木曜日

ドライクリーニングと水洗い1

(少々長くなります)

よく周囲の人から、「ドライクリーニングと水洗いってどう違うの?」と聞かれることがあります。

今回はドライクリーニング(以下ドライ)について解説致します。説明すると専門用語が多くなってしまいますがご了承下さい。

単純に要点だけ言ってしまうと、水ではなく、有機溶剤を使用して洗浄するという事です。水が有機溶剤に入れ替わっただけの事です。

有機溶剤については、以前はトリクロロエタン、フロン、パークロロエチレンが使用されていましたが、人体への毒性が強く、また環境への配慮により現在は使用が禁止されていて、今は石油系が主となっています。クリーニング用に使用する石油はターペンと呼ばれています。石油は当然可燃物なので、使用するには消防法により定められた条件があります。

洗う媒体が水の場合、水には表面張力というものがあります。服を水の中に沈めるとグシャグシャになってしまいますが、これは水中で服の全面積に対して表面張力が働くからです。水洗いの場合、この表面張力を利用して洗浄します。

対して、有機溶剤は表面張力がゼロです。表面張力によって被洗物が押されたり揉まれたりする事がないので、型崩れや収縮を起こすことなく洗浄する事ができます。従って、ウールやシルク等の水に弱い素材を洗浄するのに適しています。

例えば、一枚のチリ紙をドライすると、破けたりする事無く、ほぼそのままの状態で洗浄できます。水洗いだとそうはいきませんね。

ただし、食べこぼしなど、水溶性の汚れに対しては作用しません。有機溶剤は油溶性の汚れにのみ作用します。

汚れやシミは、おおむね水溶性か油溶性のどちらかに属しています(一部例外もある)。有機溶剤は水溶性のものをはじいてしまいます。逆に油性インクや口紅、機械油等の油溶性汚れには強力に作用します。という事は、水溶性の汚れはあらかじめ前処理によって落としておく必要があります。

水には水、油には油という事です。



ドライは水洗いと違って、「すすぎ」ができないので、フィルターを介して有機溶剤を循環させます。洗いと脱液(水ではないので「脱水」ではなく「脱液」)の工程は水洗いと同じです。

下の写真がフィルター内蔵部分で、フタを開けるとドライにより除去された汚れが堆積して真っ黒になったヘドロが出てきます。悪臭もします。その内フィルター内部の写真もブログにアップします。



下の写真はストレーナーといって、被洗物に付着した小さなゴミや糸くず、洗浄によって脱落したボタンなどがここで拾えるようになっています。



その昔、ドライ機というものがそう簡単に購入できなかった時代、同業者でうちの社長のお仲間だった方がターペンをタライに入れて、洗濯板で手洗いしていました。ご夫婦でタライと洗濯板のみでクリーニング屋を営んでいましたが、ターペンを直接手で触れて、なおかつ乾燥したターペンの蒸気を吸い込んだ影響で、不幸にも夫婦共に癌に冒され早逝しました。かつてはこういう時代もありました。

時代を経て、機器も進化してきましたが、残念なことに、石油系ドライも環境の悪化に貢献してしまっています。さらに火災等の危険性も否めないので、近年は石油系ドライも規制する動きが出てきています。石油系に代わる新しい洗浄媒体も誕生していますが、現在の所は大変高価で、このご時世の影響もあり、そうそう買い替えなどできないのが現状です。

長文で申し訳ありません。もしかして、理解しづらい説明だったかもしれません。。。

次回は水洗いについて

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