2013年5月29日水曜日
物理的作用と化学変化
いつもありがとうございます。
日々行っているシミ抜きですが、以前のブログでも申しました通り、失敗の経験も多々ございます。前々回のブログにもある通り、恥ずかしながらつい最近も失敗したばかりです。
シミには定義があります。「通常の洗濯をしても落としきれずに生地に残った汚れ」をシミと言います。しかしこのブログで何度も申していますように、当店は前処理によって先にシミをやっつけてから通常の洗濯を行っています。
素材やシミの種類によってシミに対するアプローチ方法を選択しなければなりません。物理的作用で落とせるシミと、薬品を使用して起きる化学変化を利用して落とすシミがあります。アプローチを間違えると、場合によっては取り返しのつかない事態を引き起こします。
下の写真の場合、これは空手着の裾に付着した黒ずみですが、おそらくは床に擦るなどして付着したものと思われます。こういったものは、生地の表面に付着しただけの場合が多いので、ブラシがけなどの物理的作用で落とす事ができます。
表面に付着しただけの場合は比較的簡単に落とす事ができますが、これを完璧に落とす為に、ある道具を使用します。
ピストルに似た形状をしていますが、これはトリガーを引くと先端から超音波が発生する道具です。超音波によって一秒間に数万回という震動が生まれ、その作用で汚れを分解します。生地をまったく痛めずに、強い力でブラシをガッシガッシ掛けたのと同じ効果が得られます。究極の物理的作用とも言えるシミ抜きの必需品です。ただし、素材によっては色落ちの危険もあるので、使用していいものとそうでないものもあります。
上の写真はやや濃い黄ばみです。黄ばみは、例えば食べこぼしや汗などの人体から分泌されたものが、時間の経過と共に酸素と結合して化学変化を起こして発生したものです。化学変化によりこのような状態になったものは、物理的作用では落とす事はできません。
よって薬品を使用します。化学変化には化学変化で対処します。薬品については、素材やシミによって実に様々な種類があるので、一度に説明はできません。薬品を使用して、さらに超音波でシミにトドメを刺すこともあります。
化学も物理も、とにかく経験を積む必要があります。また、失敗の経験もなければ、これらを使いこなす事はできません。日々の研鑽を怠ってはいけないのは、どの業種でも同じですね。。。
自分への戒めも兼ねて、記させていただきました。
2013年5月25日土曜日
ご注意
この所あまりに忙しくて、業務ブログは更新が遅れ気味です。
現在、かなり大量に冬物をお預かりしています。店はパンパン状態です。
店頭に持ち込みの場合でも、点数が多い時は配達も致しますのでお申し付け下さい。
尚、クリーニング後にお手元に戻ってきた品物は、袋から出してからしまうようにして下さい。袋から出して、なおかつ通気させてからしまう方が良いと思います。クリーニング店のビニール包装は、あくまでもお客様のお手元に品物をお返しするまでの間の一時的な措置です。
袋に入れっぱなしだと、外気温により中の空気が水分に変わり、それがシミをつくってしまったり、生地を痛める事になる場合があります。入れっぱなしの時間が長ければ長いほど中の品物は変調をきたします。
ご注意願います。
2013年5月21日火曜日
脱色
トラブルのご報告です。
麻100%のチョッキです。黄ばみがあちこちにありました。
麻は染色が非常に弱い為、様子を見ながら少しずつ少しずつシミ抜きをしていく必要があります。過酸化水素水という薬品を使用します。髪を茶色くするブリーチと同じものです。
ブリーチは、付けて乾かしてを繰り返すうちに少しずつ髪が脱色していきますが、それと全く同じ要領でシミを少しずつ薄くしていきます。髪のブリーチを経験したことがある方はおわかりだと思いますが、そうそう簡単に脱色はできません。同じ事を何度も繰り返し脱色していくものですが、しかしこれが衣類だと事情が違ってきます。
はじめは地色を痛めずに順調にシミが薄くなっていったのですが、残りわずか、最後のあと一押しで写真の状態になってしまいました。麻は各素材の中でも最も染色が弱い素材で、一定の限界を超えると染色が一気に崩壊します。
過酸化水素水は酸性の性質ですが、酸性の薬品を用いた場合、生地に酸を残すと痛める恐れがあるので、そこにアルカリ性の薬品を付けて中和する必要があります。しかし、その中和剤が脱色の輪をさらに広げる結果になってしまいました。
完全に失敗です。
脱色の範囲が小さければ染料を用いて色掛けという対処法もありますが、ここまで範囲が広いとほぼ不可能に近いです。染め直しという方法もありますが、手間とコストを考えると、はっきり言って新しいものを買った方が早いです。
結局、お客様ご自身で新しいものを購入して頂き、代金は賠償保険で負担する事になりました。
申し訳ありませんでした。
かつてシミ抜きを教わった師匠から、クリーニング屋である以上、シミを完全に落としたいのは本懐だが、素材やシミの状態、そして経験から判断した上での「引き際も技術」という事を教わりました。では、どこで引くのか。写真のようになってからではもう遅い。引き際を判断するにはまだ経験が浅かったと言わざるを得ません。
恥ずかしい限りですが、今後の為にご報告させて頂きました。
2013年5月19日日曜日
ドライクリーニングと水洗い2
水洗いについて解説致します。
ご家庭でも毎日されている事と思いますが、前回のブログで解説した通り、水には表面張力があり、この力を利用して洗浄します。
水の分子は、丸い球体をしています。洗濯機で回転させることにより球状の分子が被洗物の全面積を押したり揉んだりする作用が生じます。これが表面張力です。
ご家庭用においても、最近の洗濯機はドラム形状のものが一般的になってきています。これはプロが使っているものと同じ仕様です。ドラム型は、内部に三本の仕切り板のようなものが入っていて、この仕切りに被洗物が引っかかり、回転によって天井に向かって持ち上げられ、天井から水面に向かって落下します。これにより水面に叩きつける作用が生じ、これが汚れを落とすのに大きく貢献しています。
水位は全体の約1/3が理想
ドライクリーニングと違って、水洗いは洗浄して脱水した後は、被洗物がグシャグシャになっているはずです。場合によっては色落ちなども生じます。表面張力は衣類にかなり強烈な刺激を与えます。そこで型崩れを極力抑えるために、柔軟材を使用します。
柔軟材の分子は、鋭い針のような形状をしています。この針が水の球状の分子に突き刺さり、表面張力を殺す事ができます(ただし洗う媒体が水である限り、一定の限界はあると思います)。
最初から柔軟材を入れてしまうと、表面張力が死んで洗浄効果が激減してしまうので、ご家庭で柔軟材を使用する場合、必ずすすぎの時に使用して下さい。
素材によって、水温も重要な要素になってきます。基本的に白物は50℃、色物は30~40℃、デリケートなものはぬるま湯で、かき回さず手洗いをします。
ここまで水洗いについて述べましたが、私個人の考えでは、表面張力に頼らず、あらかじめシミ抜き処理をしてからすすぎの意味で通常の洗いを施すのが一番の理想と考えています。前処理によりシミを落としてから洗う事でより良い仕上がりとなり、それがプロの仕事だと考えているからです。
偉そうな事を言いましたが、次回は残念ながらトラブルの報告をしなければなりません。。。
2013年5月16日木曜日
ドライクリーニングと水洗い1
(少々長くなります)
よく周囲の人から、「ドライクリーニングと水洗いってどう違うの?」と聞かれることがあります。
今回はドライクリーニング(以下ドライ)について解説致します。説明すると専門用語が多くなってしまいますがご了承下さい。
単純に要点だけ言ってしまうと、水ではなく、有機溶剤を使用して洗浄するという事です。水が有機溶剤に入れ替わっただけの事です。
有機溶剤については、以前はトリクロロエタン、フロン、パークロロエチレンが使用されていましたが、人体への毒性が強く、また環境への配慮により現在は使用が禁止されていて、今は石油系が主となっています。クリーニング用に使用する石油はターペンと呼ばれています。石油は当然可燃物なので、使用するには消防法により定められた条件があります。
洗う媒体が水の場合、水には表面張力というものがあります。服を水の中に沈めるとグシャグシャになってしまいますが、これは水中で服の全面積に対して表面張力が働くからです。水洗いの場合、この表面張力を利用して洗浄します。
対して、有機溶剤は表面張力がゼロです。表面張力によって被洗物が押されたり揉まれたりする事がないので、型崩れや収縮を起こすことなく洗浄する事ができます。従って、ウールやシルク等の水に弱い素材を洗浄するのに適しています。
例えば、一枚のチリ紙をドライすると、破けたりする事無く、ほぼそのままの状態で洗浄できます。水洗いだとそうはいきませんね。
ただし、食べこぼしなど、水溶性の汚れに対しては作用しません。有機溶剤は油溶性の汚れにのみ作用します。
汚れやシミは、おおむね水溶性か油溶性のどちらかに属しています(一部例外もある)。有機溶剤は水溶性のものをはじいてしまいます。逆に油性インクや口紅、機械油等の油溶性汚れには強力に作用します。という事は、水溶性の汚れはあらかじめ前処理によって落としておく必要があります。
水には水、油には油という事です。
ドライは水洗いと違って、「すすぎ」ができないので、フィルターを介して有機溶剤を循環させます。洗いと脱液(水ではないので「脱水」ではなく「脱液」)の工程は水洗いと同じです。
下の写真がフィルター内蔵部分で、フタを開けるとドライにより除去された汚れが堆積して真っ黒になったヘドロが出てきます。悪臭もします。その内フィルター内部の写真もブログにアップします。
下の写真はストレーナーといって、被洗物に付着した小さなゴミや糸くず、洗浄によって脱落したボタンなどがここで拾えるようになっています。
その昔、ドライ機というものがそう簡単に購入できなかった時代、同業者でうちの社長のお仲間だった方がターペンをタライに入れて、洗濯板で手洗いしていました。ご夫婦でタライと洗濯板のみでクリーニング屋を営んでいましたが、ターペンを直接手で触れて、なおかつ乾燥したターペンの蒸気を吸い込んだ影響で、不幸にも夫婦共に癌に冒され早逝しました。かつてはこういう時代もありました。
時代を経て、機器も進化してきましたが、残念なことに、石油系ドライも環境の悪化に貢献してしまっています。さらに火災等の危険性も否めないので、近年は石油系ドライも規制する動きが出てきています。石油系に代わる新しい洗浄媒体も誕生していますが、現在の所は大変高価で、このご時世の影響もあり、そうそう買い替えなどできないのが現状です。
長文で申し訳ありません。もしかして、理解しづらい説明だったかもしれません。。。
次回は水洗いについて
よく周囲の人から、「ドライクリーニングと水洗いってどう違うの?」と聞かれることがあります。
今回はドライクリーニング(以下ドライ)について解説致します。説明すると専門用語が多くなってしまいますがご了承下さい。
単純に要点だけ言ってしまうと、水ではなく、有機溶剤を使用して洗浄するという事です。水が有機溶剤に入れ替わっただけの事です。
有機溶剤については、以前はトリクロロエタン、フロン、パークロロエチレンが使用されていましたが、人体への毒性が強く、また環境への配慮により現在は使用が禁止されていて、今は石油系が主となっています。クリーニング用に使用する石油はターペンと呼ばれています。石油は当然可燃物なので、使用するには消防法により定められた条件があります。
洗う媒体が水の場合、水には表面張力というものがあります。服を水の中に沈めるとグシャグシャになってしまいますが、これは水中で服の全面積に対して表面張力が働くからです。水洗いの場合、この表面張力を利用して洗浄します。
対して、有機溶剤は表面張力がゼロです。表面張力によって被洗物が押されたり揉まれたりする事がないので、型崩れや収縮を起こすことなく洗浄する事ができます。従って、ウールやシルク等の水に弱い素材を洗浄するのに適しています。
例えば、一枚のチリ紙をドライすると、破けたりする事無く、ほぼそのままの状態で洗浄できます。水洗いだとそうはいきませんね。
ただし、食べこぼしなど、水溶性の汚れに対しては作用しません。有機溶剤は油溶性の汚れにのみ作用します。
汚れやシミは、おおむね水溶性か油溶性のどちらかに属しています(一部例外もある)。有機溶剤は水溶性のものをはじいてしまいます。逆に油性インクや口紅、機械油等の油溶性汚れには強力に作用します。という事は、水溶性の汚れはあらかじめ前処理によって落としておく必要があります。
水には水、油には油という事です。
ドライは水洗いと違って、「すすぎ」ができないので、フィルターを介して有機溶剤を循環させます。洗いと脱液(水ではないので「脱水」ではなく「脱液」)の工程は水洗いと同じです。
下の写真がフィルター内蔵部分で、フタを開けるとドライにより除去された汚れが堆積して真っ黒になったヘドロが出てきます。悪臭もします。その内フィルター内部の写真もブログにアップします。
下の写真はストレーナーといって、被洗物に付着した小さなゴミや糸くず、洗浄によって脱落したボタンなどがここで拾えるようになっています。
その昔、ドライ機というものがそう簡単に購入できなかった時代、同業者でうちの社長のお仲間だった方がターペンをタライに入れて、洗濯板で手洗いしていました。ご夫婦でタライと洗濯板のみでクリーニング屋を営んでいましたが、ターペンを直接手で触れて、なおかつ乾燥したターペンの蒸気を吸い込んだ影響で、不幸にも夫婦共に癌に冒され早逝しました。かつてはこういう時代もありました。
時代を経て、機器も進化してきましたが、残念なことに、石油系ドライも環境の悪化に貢献してしまっています。さらに火災等の危険性も否めないので、近年は石油系ドライも規制する動きが出てきています。石油系に代わる新しい洗浄媒体も誕生していますが、現在の所は大変高価で、このご時世の影響もあり、そうそう買い替えなどできないのが現状です。
長文で申し訳ありません。もしかして、理解しづらい説明だったかもしれません。。。
次回は水洗いについて
2013年5月14日火曜日
ウェット洗い
いつもありがとうございます。
クリーニング店では、例えばウールなど、本来は水洗いできない物も状態に応じて水で洗う事もあります。これをウェット洗いといいます。
こちらはウール生地のオープンシャツですが、ペットに汚されたシミがあります。ここまで汚れがひどい場合、ドライクリーニングと水洗いの両方をやる必要があります。
まず、酵素系のシミ抜き剤をつけてからドライクリーニングしますが、この場合ドライクリーニングそのものが前処理になります。
次にぬるま湯に中性洗剤を溶かし、その中に沈めます。収縮や型崩れを起こさないよう、できるだけかき回したりせずに静かに沈めます。写真がないのが残念ですが、汚れが浮き出して水がみるみる濁ってきます。
ここまでキレイになりました。まだ若干の処理を行う余地がありますが、ウェット洗いの効果はてきめんです。
ウェット洗いなら何でも水で洗えるという訳ではありません。水に浸けていいものとそうでないものがあります。そこは経験で判断します。
次回はドライクリーニングと水洗いの違いについて解説したいと思います。
2013年5月12日日曜日
ジャケット
お世話になっております。
今回は、ある高級ブランドのジャケットをお預かりしました。
保存状態が悪かったようで、全体がカビだらけ、赤の丸印はペットの嘔吐物です。失礼ながら、最悪の状態と言わざるを得ません。
前処理として、まず乾燥した状態で表面を丹念にブラシをかけて、表面の物理的作用で落とせる汚れを全て落とします。いきなり洗ってしまうと、汚れが繊維の奥に入り込み、かえって落ちにくくなってしまいます。
その後、襟は酵素系のシミ抜き剤をつけてさらにスチームで熱を加えてブラシがけ、カビは表面は落ちても根っこの菌は生きています。しかし、ドライクリーニングする事で、カビ菌は根こそぎ殺菌できます。ちなみに、水洗いする品物の場合、消毒用のエタノールをスプレーして、あらかじめ菌を殺してから洗浄します。
クリーニング後はこの通りです。ジャケットは通常¥650、裏地なしの夏物は¥600でお預かりしていますが、このジャケットのようにシミが特別ひどいものは、別料金が発生する場合もあります。このジャケットは、お客様の了解を得て¥1500頂戴致しました。
2013年5月11日土曜日
ワイシャツのクリーニング
お世話になります。
クリーニング店で最もお預かりする点数が多いのがワイシャツです。ワイシャツの処理方法について説明させていただきます。専門用語も少々交えますがご了承下さい。
お客様サイドで考えると、最も気になるのが襟、カフスの汚れではないでしょうか。
先のブログでも述べた通り、襟カフス、その他の汚れを前処理によって先に落としてから洗浄する事が重要になります。特に襟の汚れは、ただ洗っただけではまずキレイにはなりません。
上の写真はお預かりしたばかりの処理前の写真ですが、襟が黒ずんでいます。これをあらかじめ落としてからクリーニングをします。
少々わかりづらくて申し訳ありませんが、襟の汚れの所に付着している白い粉末は、酸素系漂白剤で、過炭酸ナトリウムというものです。これは、作用が穏やかな漂白剤で、色柄物にも比較的安心して使用できます。ただし、色落ちする危険性があるものもあるので、これは経験により判断します。ちなみに、スーパーで売られている粉末のワイドハイターに含まれているものと同じ成分です。ただ、ワイドハイターの場合、過炭酸ナトリウムに洗剤が混ぜられていて、この洗剤が邪魔なので、クリーニング店では過炭酸ナトリウムそのものを使用します。
粉末を汚れに付着させ、水で濡らしてから蒸気のスチーム(写真の左上)を近付けると、熱に反応してブクブク泡立ってきます。これにより、部分的な漂白作用で汚れを落とします。ピンボケしていますが、下の写真が前処理後です。あらかじめこの状態にしてからクリーニングします。
クリーニング店で最もお預かりする点数が多いのがワイシャツです。ワイシャツの処理方法について説明させていただきます。専門用語も少々交えますがご了承下さい。
お客様サイドで考えると、最も気になるのが襟、カフスの汚れではないでしょうか。
先のブログでも述べた通り、襟カフス、その他の汚れを前処理によって先に落としてから洗浄する事が重要になります。特に襟の汚れは、ただ洗っただけではまずキレイにはなりません。
上の写真はお預かりしたばかりの処理前の写真ですが、襟が黒ずんでいます。これをあらかじめ落としてからクリーニングをします。
少々わかりづらくて申し訳ありませんが、襟の汚れの所に付着している白い粉末は、酸素系漂白剤で、過炭酸ナトリウムというものです。これは、作用が穏やかな漂白剤で、色柄物にも比較的安心して使用できます。ただし、色落ちする危険性があるものもあるので、これは経験により判断します。ちなみに、スーパーで売られている粉末のワイドハイターに含まれているものと同じ成分です。ただ、ワイドハイターの場合、過炭酸ナトリウムに洗剤が混ぜられていて、この洗剤が邪魔なので、クリーニング店では過炭酸ナトリウムそのものを使用します。
粉末を汚れに付着させ、水で濡らしてから蒸気のスチーム(写真の左上)を近付けると、熱に反応してブクブク泡立ってきます。これにより、部分的な漂白作用で汚れを落とします。ピンボケしていますが、下の写真が前処理後です。あらかじめこの状態にしてからクリーニングします。
アイロン仕上げは、素材により綿100%のものは「焼ゴテ」といわれる熱アイロンで仕上げます。アイロン温度は180℃が標準ですが、最近の素材は従来のやり方だと何らかのトラブルが起きかねないものがあるので、150~160℃の低温で仕上げるようにしています。
ポリエステル混紡のものは熱に弱いので、蒸気アイロンで仕上げます。もちろん、全て手仕上げです。
最後に、ワイシャツの料金ですが、店内持込の場合、¥200、配達は¥220でお預かりしています。お値段は一番気になるところですが、この処理内容では決して高くないと思います。
今後、各品物の処理だけでなく、クリーニングの道具や機械等についてもブログで解説していきたいと思います。
基本的なクリーニングの流れ
いつもお世話になります。
お預かりしたクリーニングの処理法について説明させていただきます。
まず、基本的なクリーニングの流れを言うと、
検品
↓
前処理
↓
洗浄
↓
アイロン仕上げ
ですが、まずお預かりした時点で、ポケットの忘れ物、シミの有無、ボタンの欠損、生地の穴あき等を確認します。クリーニングによるトラブル、クレームの大半は検品が不十分だった事による原因が多いです。
次に前処理ですが、これが一番大事です。この段階でシミを全て落としてから洗浄をします。洗浄後にシミが残っていると、また同じ事を繰り返す事になるので、無駄手間にならないよう、入念に行います。
次に洗浄ですが、ドライクリーニング、水洗い、手洗いなど、素材に適した洗浄方法を判断します。私個人の考えを言うと、どの洗浄方法においても、洗うというよりは、前処理の段階でシミ抜きに使用した薬品等をすすぎ落とすという意味で洗うのが一番理想と考えています。それだけに、汚れを落とす事にこだわると、前処理が最も重大になってくるのです。
アイロン仕上げは、最も経験がものをいうところです。素材によって強くプレスするもの、軽くプレスするもの、アイロンを当ててはいけないもの、様々です。アイロンも蒸気アイロン、熱アイロンがあり、各素材によってこれらを使い分けます。
次回から、各品目別に説明致します。
2013年5月8日水曜日
はじめに
当店のブログにお越し下さりありがとうございます。
このブログでは、日々の業務、アイロン仕上げ、しみ抜き、その他技術的な事を写真を交えて解説致します。また、ご家庭でも簡単にできるしみ抜きなど、ちょっとしたネタも小出しにしていきます(笑)。
また、今後の為に、トラブルなども正直に報告致します。
何十年と経験を積んでも、何らかのトラブルが付きまとうのがこの仕事です。どんなに注意を払っても、予測のつかない事態がどこかに潜んでいます。
私自身、数々のトラブルに苛まれ、自信を持って仕事ができるようになるまで、長い年月を要しました。逆に言えば、トラブルの経験がなければ、身につかない事が多くあります。
このブログは、私自身の今後の為のトラブルシューティングの意味も含めています。トラブルだけでは話になりませんが(笑)。
頻繁に更新していきますので、よろしくお願い致します。尚、「息抜き」のブログでは、日々のくだらない事を日記にしていますので、合わせてよろしくお願い致します。
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